日本財団 図書館


 

ベオグラード憲章は、今から20年以上も前のものであるが、個人の意識改革、市民としての行動の喚起までが明記され、緊急性を増す地球環境問題を積極的解決に導くために行動する市民の育成を目標に明確に掲げた点が、もっとも優れた点である。この基本目標は、現在も強く支持されており、各個人に対しての環境教育の目標を最もよく整理したものと高く評価できる。
その後、UNESCO及び、UNEPが発刊した環境教育のガイドなどでは、この6つの目標段階を、1.理解、2.価値観、3.(対処する)技術、4.行動様式の4項目にまとめている(図2−3)が、個人レベルの教育理念としての全体の流れはまったく変わっていない。
<環境教育の目標段階−V2>
1.理解 Understanding ○○への理解
2.価値観 va1ues ○○への価値観
3.技術 Ski11s ○○に対処する技術
4.行動様式 Behavior ○○に対する行動様式

図2-3.UNEPによる環境教育の目標段階(小河原、1994)

これを、立場を変えて環境教育のアプローチの面から整理すると、環境教育プログラムには3つの異なったアプローチを入れる必要があることがわかる(図2−4)。
<環境教育のアプローチ>
1.In ○○の中で ○○の現場で
2.About ○○に関して ○○のテーマで
3.For ○○のために ○○のを想う

図2−4.UNEPによる環境教育のアプローチ(小河原、1994)

これは、環境問題の現場あるいは自然環境の中に身を置き(In)、それについて必要な理解を深め(About)、問題解決のために行動できる(For)、内容を入れるということである。
さて一方、1977年の環境教育政府間会議(トビリシ会議)では、環境教育の上での12の原則という指針が示された(図2-5)。これは、準備会議(ベオグラード憲章)と比較し、問題をより社会的に捉え、組織的で系統立った教育のなかで実践されるものと考えられたものとなっており、環境問題を社会問題として捉え、解決に向けていくという色彩が

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION